栄光なき凱旋

昨夜「栄光なき凱旋」の下を読み切った。
上、中、各500ページ、下460ページの大作だった。

栄光なき凱旋〈下〉 (文春文庫)

栄光なき凱旋〈下〉 (文春文庫)

最初は何の予備知識もなくただ太平洋戦争の時の日系人の話だと思ってた。
最近テレビでそんなドラマの予告も見た。
予告では日系人が強制収容場に入れられる惨めな場面しか見てないので
それに近いような話かと思ってたが、(テレビを見てないので正確ではないが)違うような気がした。
この作者真保裕一は、この先に「灰色の北壁」を読んで、たまたまこの本が家に有ったので読んだが最近の小説家なかなかだなと思わせる内容だった。
真珠湾に始まった太平洋戦争、この小説の始まりも同じく日本軍の真珠湾攻撃
それを受けて、アメリカに暮らす日系2世のその後太平洋戦争が終わるまでのストーリー
ヘンリー、ジロー、マットがかわるがわる主人公になって物語は進む。
今までアメリカ軍に参加して戦った日系人の話は聞いたことがあるが、
ここまで書かれたものを読んだのは初めて。
小説だから、どういう思いで戦争に加わったかは真相は解らないが、かなり真相をつかんでいるのではと思った。
先日オバマが、今頃になって改めて何かの賞を送ると言ってた日系人部隊442連隊や第100大隊のヨーロッパ戦線の話、太平洋での日本軍との戦い、その中でいろんな矛盾を頭に浮かべながら戦い命を落とす日系2世達
この戦争の事日本側からの小説はかなり読んだけど、また新しく戦争について感じるものが有った。
戦争によって利益を得るのは国民ではなく一部の戦争を画策した人間で、苦しみ悲しむのは戦争に勝とうが負けようが国民であるのは現代も同じ。
それを知らない人が今も正義と信じて戦っている。
早く気がついてやめないと・・騙されるな・・
パールハーバーの後多くの人間が死に、ほんの一部の人の命を命と思わぬ強欲な人間が巨額の富を手にした。
9.11の後も同じことが起きている。