三屋清左衛門残日録を読んだ
- 作者: 藤沢周平
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1992/09/01
- メディア: 文庫
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最近はもっぱらサクッと読めるサスペンス物が多かった
妹から貰った本が読み終わったので家の本棚から何かないかと探したら
藤沢周平が目についた。
そう言えばここ数年友人たちがよく藤沢周平の作品を話題にしてる
時代小説では池波正太郎が好きで昔よく読んだが、藤沢周平はなんとなく暗いイメージが有って避けていたようだ。
しかし久しぶりにゆっくり読むのもいいだろうとこの作品を
まず最初に自分の今の置かれた位置を思い浮かべた
隠居。
現役を退いた状態をそう呼ぶのだろうけど、自分がまさにその隠居状態なのにそう思っていなかったのが不思議。
話はある藩の重職を退いた主人公が昔のことを思い出しながら人の浮き沈みに思いを巡らしまた新しい日々の出来事を記録していくという話。
物語はゆっくりと静かに流れていく、文章も綺麗で読んでいて心が安らぐ。
隠居した後藩に起きる事件の解決に協力してまた旧友のことを想う
そんな話だが最後に病に倒れた旧友が体を取り戻そうと必死に努力する姿を見て感動した言葉が良かった。
「人間はそう有るべきなのだろう。衰えて死がおとずれるそのときは、おのれをそのままで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終わればよい。しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、人間は与えられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ」