「破戒」に続けて「夜明け前」を読んだ。
これで藤村2作目。
藤村の父をモデルにした馬込宿の庄屋、本陣の主人半蔵の生涯を描く長編小説。
江戸末期から明治中期までの世の中の移り変わりの時代に本居宣長、平田篤胤を学んだ国学者でもある半蔵が江戸幕府の崩壊により封建制度がなくなり万民が平等の真の復古「夜明け」を願う物語。
しかしながら理想とはかけ離れ多くの犠牲者をだしながら単に権力者が変わっただけの維新に終わり絶望、最後は精神に異常をきたし座敷牢に閉じ込められて生涯を終える。
大きく時代が変わる歴史の流れを木曽路の宿場の主人の目から見た様子を克明に描いている。
今まで読んだ維新関係の小説は武士階級からの物がほとんどだったので、違った方向から維新を捉えることが出来た。
結局は明けない「夜明け前」
60年代から70年代学生運動華やかなりし頃の
高石ともやの歌を思い出した。
「友よ」
あの時も夜明けは近いと歌ったが結局明けずに終わった。
たとえどんな理想を抱えた革命が起ころうが真の万民平等なんて有り得ないのは歴史の証明する所。