田舎教師

田山花袋の「布団」に続いて「田舎教師」を読んだ。
この小説は実在の人物がいてその日記を元に書かれたものだそうだ。
旧制中学を卒業した主人公は友人たちが高校やその他の学校に進学するのを羨ましく思いながらも生活のため進学を諦め小学校の教師になる。
その後も友人たちと文学を通じ交友を続けるが
次第に交友は途切れそれと同時に病になる
最後は父母を残し病に倒れて没してしまうと言うストーリー
その中で青春期の色々な悩みや理想を友人知人と語り合う
全体的な流れとしては理想を追うことが出来ず田舎教師に埋もれ終わってしまうのではという焦りと苦悩が描かれている。
それでも何も望まず普通に流れのままに生きる友人の姿にもそう有れればと思う心も・・
文章の中で特徴的なのは自然描写がとても多いことと四季の営みを詳しく取り入れていることが印象的だった。
物語の最後は悲しい終わりだが「布団」に比べ読んで心安らかなものを感じた。
昔読んだ漱石の三部作やヘッセを思い出させるものが有った。