山での出会い

2週間ほど前に珍しいメールが届いた。
一瞬MEIWAKUメールかなと思ったが
よく見ると前に山で会った女性のようだ。
4年前の9月20日に早月尾根で会っている
「もうお忘れかと思いますが」と有ったがよく覚えていた。
あの日は天気が悪く馬場島に着いても小雨が降ってた。
誰か行かないかなと思ってたが動き出す人がいない
しょうがないので5時20分頃に傘を出して歩き出した。
尾根を登り出して直ぐに下からヘッデンの灯りが来るのが見えた。
直ぐに追いつかれ道を譲る、薄暗くて女性だとしか分からなかった。
日帰りの山女かなと思ってた。
ゆっくり登ったが天気も悪くモチベーションが上がらない
3時間半ほどかかって早月小屋に到着。
上はガスで何も見えないし疲れもひどい、ここで止めようかなと思ってた。
小屋の入り口にさっきの女性がいる、写真を撮りながらこっちに向かって来た。
熟練の山女かと思ってたのにまだ若い女の子だ。
小屋で上に行ったらダメと言われたと言ってしょげてた。
まあコンナ天気だから頂上に行っても何にも見えないだろうと諦めさせ、ちょうど小屋前にいた田制さんと少し山の話をした。
聞くと今年から山を始めたばかりと言う。
そして今年登った山の話を聞くとどれもかなりハードな山ばかり。
下りは一緒に降りることにして周りの山の説明をしながら下った。
「こんな天気の悪い日は中山にでも行けば良かったのに」と言うと「中山ってどこですか?」と聞く
劔岳に一人で登ろうとしてるのに周りの山はほとんど名前も知らない。
脚力も凄いが度胸も凄いのに驚いた。
途中から追いついてきた小屋の若者と松尾平で休んで話をしてたら「ところで松尾平ってどこですか?」と言う始末。
それでも下山は楽しく喋りながら下ることが出来た。
山で出会った人と親しくなってもあまり名前を聞くことは無いのだがこの時も聞かず別れた。
その子からメールが届いた。
あの日のことを感謝した言葉の後に色々書いてあった。
あの後2週間後に10月に入っての早月尾根を日帰りを果たしたと、その時の頂上の景色と感動は一生忘れないだろうと
あの日山の名を教えた、赤谷山や猫又、毛勝もその後登ったと
そして今は海外にいると書いてあった。
メールを貰ったのが嬉しかったのと懐かしかったので早速御礼のメールを書いてどこの国にいるのかと聞いたら。
返ってきたメールにブラジルの片田舎と書いてあった。
近くに山がなくて日本の山が恋しいと綴ってた。
そのうち南米の山の山岳ガイドになってたりするかも・・