久々に麻雀の話。(先輩編)

大学に入った当初、市が運営する東京の寮に2年間いた。
前にも書いたが学生寮なので当然麻雀は禁止。
しかし当時の寮長(故人)は麻雀にはとても甘かった(笑)
当時寮の先輩でめちゃくちゃ麻雀の強い人が3人いた。
自分も同級生とすれば強い方だったがこの3人は桁外れだった。
雀荘で社会人とかセミプロみたいな連中と対等でやる実力だ。
その3人が寮で麻雀をやるにはどうしてももう一人足りない。
ところが寮にはこの3人とやりたがる人間は誰もいなく、何時も自分が駆りだされた。
3人が揃って寮にいる時は必ず始まる、自分もこの3人とはしたくなかったが先輩なため断ることが出来なかった。
ある日3人が寮にいた、これはヤバイと思って部屋で寝たふりをしてたのだが1階の一番端の部屋から3階の一番端の部屋まで上がってくる音が聞こえたO先輩の足音だ。
ノックもせずにドアを開け「おっ!やるぞ〜♪」有無を言わさず連行された。
例によって手も足も出ず、ほとんど勝負はせず降りてばかりいたから負けはそんなに多くなかったが、少しづつ負けがかさんできた。そしてY先輩が東家、自分が南家、西家がS先輩、北家がO先輩の時だ、Y先輩の降ったサイコロが4を出した。O先輩の山から始まる。
配牌を見ると東、西、南、発、白が各2枚づつある。
東がドラ、一巡目が何もなく終わるかと思ったら北家のO先輩が発を出した。
当然ポン、続けて西家と北家から南、西と出た。当然ポン。
東と白で字一色のテンパイになってしまった。
その時Y先輩が一番端の牌に指をひっかかけ倒してしまった。
なんと東だ。
先輩はまだ2巡目に入ったばかりだが「見られてしまったし、ヤバイ気がするけど・・」と言ってそれを切った。
1巡回っただけで字一色を上がったわけだ。
Y先輩は「Oの詰め込みにやられた」と呆れてたが、あとで聞いたらやはりO先輩が負けてる自分の所に来るよう東と発を詰め込んでいたそうだ。それにたまたま偶然が重なって役満の出来上がりになってしまった。

O先輩は伝説的な詰め込みの名人。しかも驚異的な記憶力で自分の積んだ牌はほとんど覚えている上に他人のテンパイをほとんど当てる人だった。この先輩と同じくらい麻雀で凄かったのが前にも書いた同級生のYだが、面白いことにこの二人高校時代テニスでペアを組んでいた中、しかし麻雀での対戦は無かったようだ。
一度病気をしたらしいが今も自分と同じ街に住んでいる。

S先輩は静かな人で尚食通、寮の外で会ったりすると良く美味しい物をごちそうしてもらったりした。卒業後はホテルマンになったと聞いたがその後会ったことはない。

そして役満を振り込んだY先輩は傍目には怖い感じで本当の勝負師だったが根はとても優しくて一番世話になったかもしれない。卒業して家業を継がれたが35歳の時野球をしていて突然倒れ帰らぬ人なってしまった。

この3人とよく麻雀の相手をさせられたが、実は自分は単なる面子合わせで負けても後でこっそり勝った人が返してくれたのだ。
この3人の他にも多くの良き先輩たちに恵まれたのに、振り返ってみれば後輩には何にもしてない自分が情けない。