武揚伝

随分時間がかかったが、武揚伝全4巻を読み終わった。
久々に新しい事を知ることが出来た本だった。

武揚伝〈1〉 (中公文庫)

武揚伝〈1〉 (中公文庫)

江戸幕府から明治政府に変わる政変の時代の話。
明治維新などと美化して言われてるが自分自身は単に権力者が変わっただけの(時には醜い)権力闘争でしかないと前から思ってる。作者もその様に描いている。
その結果、日本の歴史は帝国主義の思想の基にどんどん一方向に進み、日清戦争日露戦争、そして太平洋戦争へと破滅の道をまっしぐらに進んで行かざるを得なかった。
そして敗戦、そこでようやく今までの思想を外部の力によって徹底的に壊された。
ここで初めて日本が変われたのではないかと個人的には思っている。
この本を読んでこの江戸から明治への政変の中にも素晴らしい人たちが沢山居たことを知らされた。
榎本武揚」名前と大雑把な経歴しか知らなかったが、徳川幕府の中にも将来の日本の有り方を真剣に考えれる能力と知識を持った人間が居た。
小説なので事実関係全てはそのまま信じられないが、あの政変の中で起きた事が今まで知らされてた事とあまりにも違いが多く新しい歴史を知ったように思えた。

1巻から4巻まで全て読めばいいのですが、時間が無ければ3巻と4巻だけでも読まれればあの時代の知らされてない歴史が分かると思います。
新撰組や白虎隊、とかく涙涙の話が多いこの時代をすっきりと描いています。
久々にお勧めの本です。