どちらかが彼女を殺した

東野圭吾読んだのが5作目

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

どちらかが彼女を殺した (講談社文庫)

この作品のストーリーは自分の彼氏を友人に紹介したら彼氏を盗られてしまったという「テネシーワルツ」の歌詞みたいな内容の展開で始まる。
そして失恋したことを故郷の兄に電話で告げて死んでしまう。
警察官である兄は現場を見た瞬間にこれは自殺では無いと確信する。
そして他殺の証拠となりそうなものは隠してしまい、通報する。
所轄の警察は現場の状況から自殺と断定しようとするが
ここで登場するのが名物刑事加賀、怪しいとにらんで一人捜査する。
兄の警察官も自分一人で犯人を上げようと動く。
二人は彼女から恋人を奪った女と元彼のどちらかが犯人と考え特定しようとする。
そしてこの物語は「分かった」と言う言葉は有るがどちらが犯人か書かずに終わる。
ヒントを小説の中に残し読者に推理させようという仕組みの小説のようだ。
推理小説としては面白い構想だが、やはりこの作家不満が残る。
その一つは犯人を特定する証拠と理由が決定的でない。
右利き左利きが犯人を特定する理由になってるが、現実的には犯人の自白でもない限り薬袋の破り方だけでは無理だろう。
まあそれは良しとしても
それ以上に、どうも事件と動機の重さが釣り合わない。
この動機で殺人事件では軽すぎると思う。
構想は面白いがどうせフイクションなんだからもう少し読者が納得できるような動機を考えて欲しかった。
最近の実際の殺人事件には動機なんてほとんど感じられない衝動的なものが多いけど
小説の場合はその動機が一番重要なんだけどな。