落日燃ゆ

ようやく読み終わった。
去年暮に東京駅で帰りの電車で読もうと買ったのだが
半分くらい読んでそのままになってた。
お盆になって少しづつ時間を見つけて読み終えた。
こんなに時間のかかった読書は初めてだ。
ここ何年か、太平洋戦争関係の小説(ほとんど吉村昭だけど)を何冊か読んだ。
昔から一体どうしてあの戦争が起きたのか、だれが起こしたのか疑問だった。
それを知りたくていろいろ読んだが、やはり良くわからない。
吉村昭氏が亡くなり、城山三郎氏も亡くなった。
城山三郎氏の小説は初めてだが、亡くなられたこともあって何か読みたくなった。
あの戦争の中で、総理を含め外相としてなんとか本格的な戦争を回避しようと努力の限りを尽くしそれが実らず軍部に押されたまま戦争に入ってしまい、最後はただ一人の文官A級戦犯として処刑された広田弘毅の話。
小説だから、主人公のことを特によく書こうと言うこともあろうけど、そんな人も居たことそしてやったことも解った。
広田弘毅、福岡の貧乏な石屋の息子に生まれ外相、総理にまで上り詰めた人物
最後の東京裁判では戦争中ことごとく和平への努力を邪魔され続けた軍部の上層と一緒にA級戦犯とされ、責任のなすり付け合いのような軍人たちとは離れ、ただ一人一言の弁明もせづ何であれ戦争を止めることができなかったのは自分の責任と黙って処刑された人物。
読み終えて、あの戦争のことがようやく少し解ったような気がした。
それとこの小説、昔に読んだカミューの「異邦人」の不条理と言う言葉を思い出した。
昨日は64回目の終戦記念日だった。
どんどん年が過ぎて行き戦争のことを知ってる人が少なくなって行く。